【2026年最新】空き家を高く貸す方法|家賃アップの秘訣と成功事例を完全ガイド

query_builder 2026/01/08

1. はじめに:空き家を「負債」から「資産」に変える方法

親から相続した実家、転勤で住まなくなった持ち家…。使わない家を持っていると、固定資産税や維持費だけがかかって、正直「重荷」に感じている方も多いのではないでしょうか。

実は日本全国で空き家は約900万戸にのぼり、7軒に1軒が空き家という時代になっています(総務省「住宅・土地統計調査」より)。でも、だからこそチャンスなんです。適切な方法で貸し出せば、空き家は毎月安定した収入を生み出す「資産」に変わります。

この記事では、不動産業界で15年の経験を持つ私が、空き家を相場よりも高く貸すための実践的な方法を全てお伝えします。リフォームの費用対効果、管理会社の選び方、補助金の活用法まで、初めての方でもすぐに行動できるよう、具体的な手順とともに解説していきますね。


なぜ今「高く貸す」が注目されているのか

コロナ禍以降、リモートワークの普及で「郊外の広い家」や「静かな環境」を求める人が急増しています。都心の狭いマンションから、少し離れた場所でも快適に住める戸建てへの需要が高まっているんです。

つまり、今まで「田舎だから貸せない」「古いから価値がない」と思っていた空き家でも、ターゲットとやり方次第では想像以上の家賃で貸せる可能性があるということ。実際、私がアドバイスした築50年の古民家も、適切なリフォームで月3万円から7万円にアップした事例があります。

それでは、具体的な方法を見ていきましょう。


2. 空き家を高く貸す前に知っておくべき基礎知識


2-1. 空き家を貸すメリット・デメリット

まず、空き家を賃貸に出すことの良い面と注意点を整理しておきましょう。こういうとき、冷静に判断することが大切ですよね。


【メリット】

  • 安定収入が得られる:毎月の家賃収入で固定資産税や維持費をカバーでき、プラスの収益も期待できます
  • 資産価値の維持:人が住むことで建物の劣化を防ぎ、資産価値を保てます(空き家は急速に傷みます)
  • 税制上の優遇:賃貸用物件として、修繕費や管理費を経費計上でき、節税効果があります
  • 将来の選択肢が広がる:定期借家契約なら、将来自分が戻りたいときに柔軟に対応できます
  • 地域貢献:空き家問題の解決に貢献でき、地域の活性化にもつながります


【デメリット】

  • 初期費用がかかる:リフォームや修繕に数十万〜数百万円の投資が必要な場合があります
  • 管理の手間:入居者対応、修繕対応など、オーナーとしての責任が発生します(ただし管理会社に委託可能)
  • 空室リスク:入居者が見つからない期間は収入がゼロになります
  • 入居者トラブル:家賃滞納、近隣トラブル、退去時の原状回復問題などが起こる可能性があります
  • すぐに売却できない:入居者がいる間は簡単に売却できません

デメリットもありますが、適切な準備と管理体制を整えれば、リスクは最小限に抑えられます。特に管理会社を活用すれば、オーナーの負担はぐっと軽くなりますよ。


2-2. 家賃相場の決まり方と査定の基本

「うちの空き家、いくらで貸せるんだろう?」これ、一番気になりますよね。家賃は以下の要素で決まります。

家賃を決める主な要素

  • 立地条件:駅からの距離、周辺環境(学校・スーパー・病院など)、治安
  • 物件の広さ:延床面積、部屋数、収納スペース
  • 築年数と状態:建物の経年劣化、リフォーム履歴
  • 設備・仕様:キッチン、浴室、トイレ、冷暖房、駐車場の有無
  • 周辺の相場:同じエリアの類似物件の家賃

家賃査定は、必ず複数の不動産会社(最低3社)に依頼しましょう。会社によって査定額が1〜2万円違うことも珍しくありません。その際、「この価格なら確実に借り手がつく金額」と「チャレンジ価格(少し高めに設定)」の両方を聞いておくと、戦略が立てやすくなります。

最近では、不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'Sなど)で周辺の賃貸物件を検索すれば、ある程度の相場感をつかめます。自分の物件と条件が似ている物件を5〜10件ピックアップして、平均値を出してみてください。


2-3. あなたの空き家は貸せる?3つのチェックポイント

賃貸に出す前に、必ず確認すべきポイントがあります。


チェック①:建物の安全性

旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)の物件は、耐震診断を受けることをおすすめします。万が一、地震で倒壊して入居者が被害を受けた場合、オーナーの責任が問われる可能性があります。耐震補強工事には自治体の補助金が使えることも多いので、後ほど詳しく説明しますね。


チェック②:住宅ローンの有無

住宅ローン返済中の物件を賃貸に出す場合、必ず金融機関に相談が必要です。住宅ローンは「本人が住むこと」を前提とした低金利のローンなので、無断で貸すと契約違反になり、一括返済を求められる可能性があります。金融機関に相談すれば、投資用ローンへの借り換えや条件変更に応じてもらえることもあります。


チェック③:賃貸禁止の制約がないか

マンションの場合、管理規約で賃貸が禁止されていることがあります。戸建てでも、建築条件付き分譲地などで賃貸制限がある場合も。必ず契約書や規約を確認しましょう。


3. 空き家を高く貸すための7つの戦略

さあ、ここからが本題です。相場よりも高く貸すための具体的な戦略を7つ、優先度の高い順に紹介します。


3-1. 【最重要】費用対効果の高いリフォーム・リノベーション

「リフォームにお金をかければ高く貸せる」のは事実ですが、やみくもに投資しても回収できません。大切なのは「費用対効果」です。

投資効果が高いリフォーム箇所TOP3

第1位:水回り(キッチン・浴室・トイレ)
入居希望者が最も重視するのが水回りです。古くて汚い水回りは、それだけで敬遠されます。逆に、築年数が古くても水回りがきれいなら、家賃を相場より5,000〜10,000円高く設定できます。

  • キッチン:システムキッチンへの交換(50〜100万円)、または扉の交換と天板のコーティング(15〜30万円)
  • 浴室:ユニットバスへの交換(80〜120万円)、または浴槽・壁の再塗装(10〜20万円)
  • トイレ:温水洗浄便座への交換(5〜15万円)※これだけでも印象が大きく変わります

第2位:壁紙・床の張替え
室内の印象を大きく左右するのが、壁紙と床です。特にタバコのヤニや生活臭がある場合、クロスの張替えは必須です。

  • 壁紙(クロス)張替え:1㎡あたり1,000〜1,500円(6畳で5〜7万円)
  • フローリング張替え:1㎡あたり4,000〜8,000円(6畳で10〜20万円)
  • 畳の表替え:1畳あたり5,000〜10,000円

最近のトレンドは、アクセントクロス(一面だけ色や柄を変える)や、木目調の床材です。個性的すぎると好みが分かれますが、程よくおしゃれにすると「この物件いいね!」と思ってもらえます。

第3位:外観と玄関まわり

内見に来る前の「第一印象」を決めるのが外観です。内装がどんなにきれいでも、外観がボロボロだと内見すらしてもらえないこともあります。

  • 外壁塗装:80〜150万円(戸建て)
  • 玄関ドアの交換または塗装:10〜30万円
  • 庭の手入れ・雑草処理:5〜10万円
  • ポストや表札の新調:5,000〜20,000円

外壁塗装は高額ですが、築20〜30年経っている場合は検討の価値があります。見た目が新築のように変わり、家賃を2〜3万円アップできた事例もあります。

コストを抑えるリフォームの裏技

予算が限られている場合、以下の方法も効果的です。

  • DIYを活用:壁紙の一部張替えや、棚の設置など、簡単な作業は自分でやれば材料費だけで済みます
  • クリーニング業者の活用:プロのハウスクリーニング(3〜5万円)だけでも驚くほどきれいになります
  • 複数業者の相見積もり:リフォーム費用は業者によって30%以上違うことも。必ず3社以上から見積もりを取りましょう
  • 設備のグレードを選ぶ:最新の高級品ではなく、シンプルで清潔感のある中級品で十分です


3-2. ターゲット設定で差をつける(ファミリー・単身・リモートワーカー等)

「誰に貸すか」を明確にすることで、リフォームや設備投資の方向性が決まります。

ターゲット層 重視するポイント おすすめの設備・リフォーム 想定家賃アップ
ファミリー層 収納、子供部屋、安全性、学区 収納増設、和室→洋室化、庭の整備、防犯カメラ +5,000〜15,000円
単身者(20〜30代) デザイン性、設備の新しさ、駅近 おしゃれな壁紙、モニター付きインターホン、独立洗面台 +3,000〜8,000円
リモートワーカー 作業スペース、通信環境、静かさ 光回線完備、書斎スペース設置、防音対策 +8,000〜20,000円
高齢者 バリアフリー、平屋、病院近く 段差解消、手すり設置、引き戸への変更 +3,000〜10,000円
外国人 初期費用の安さ、多言語対応 家具家電付き、英語対応の管理会社 +10,000〜30,000円

特に注目なのが「リモートワーカー向け」です。コロナ禍以降、自宅で快適に働ける環境を求める人が激増しています。書斎や作業スペースを設けるだけで、相場より1〜2万円高くても入居が決まることがあります。光回線(光ファイバー)の導入も必須ですね。


3-3. 水回りと内装、どこに投資すべきか

予算が限られている場合、「水回り」と「内装」のどちらを優先すべきでしょうか?

答えは「水回り」です。

理由は、水回りの劣化は入居者にとって「生活の質」に直結するからです。壁紙が古くても我慢できますが、トイレが汚い、お風呂にカビが生えている、キッチンが使いづらい…これでは誰も借りたくありませんよね。

実際、私が担当した物件で、内装はそのままで水回りだけリフォームした結果、3ヶ月空室だった物件が2週間で入居が決まった事例があります。投資額は約80万円でしたが、月5万円の家賃アップができたので、投資回収期間は約16ヶ月でした。

逆に、内装をおしゃれにしても、水回りが古いままだと「見た目はいいけど住みにくそう」と敬遠されます。

優先順位の目安

  1. 第1優先:水回り(特にトイレ・浴室)
  2. 第2優先:床・壁紙
  3. 第3優先:収納・間取り変更
  4. 第4優先:外観・エクステリア


3-4. 「貸し方」の選択で賃料アップ(戸建て・シェアハウス・民泊・オフィス)

空き家の活用法は、普通の賃貸住宅だけではありません。用途を変えることで、収益を2倍、3倍にすることも可能です。

貸し方 メリット デメリット 想定収益(例)
戸建て賃貸(1世帯) 管理が楽、長期契約が期待できる 空室時は収入ゼロ 月6〜12万円
シェアハウス(複数入居) 総収入が高い、空室リスク分散 管理が煩雑、トラブルリスク 月15〜30万円
民泊(Airbnb等) 高収益が期待できる、柔軟な運用 法規制あり、稼働率に左右される 月10〜25万円
事務所・店舗 家賃が高め、長期契約 用途制限、リフォーム費用高 月10〜20万円
サテライトオフィス 需要増加中、安定収入 設備投資必要、競合増 月8〜15万円

シェアハウスは本当に儲かる?

例えば、4LDKの戸建てを1世帯に月8万円で貸すより、4部屋それぞれを月4万円でシェアハウスとして貸せば、月16万円の収入になります。ただし、入居者同士のトラブル対応や、共用部分の清掃など、管理の手間は確実に増えます。

シェアハウスに向いているのは、駅近で若者や外国人が多いエリアです。大学や専門学校が近い、外国人労働者が多い地域なら成功率が高いですね。

民泊の注意点

民泊は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の届出が必要です。年間180日以内という営業日数制限があり、自治体によっては独自の条例で制限が厳しい場合も。また、近隣住民とのトラブル(騒音、ゴミ問題)も起こりやすいので、管理体制をしっかり整える必要があります。

民泊に向いているのは、観光地や出張需要が高いエリアです。稼働率が70%以上見込めるなら、通常の賃貸より高収益が期待できます。


3-5. 設備投資で付加価値を高める方法

少しの設備投資で、家賃を数千円〜1万円アップできることがあります。

費用対効果の高い設備TOP5

  1. 温水洗浄便座(ウォシュレット):費用5〜15万円/家賃アップ+3,000〜5,000円
  2. エアコン(各部屋):費用1台8〜15万円/家賃アップ+5,000〜10,000円
  3. 宅配ボックス:費用3〜10万円/家賃アップ+2,000〜5,000円
  4. モニター付きインターホン:費用5〜10万円/家賃アップ+2,000〜3,000円
  5. 無料Wi-Fi完備:費用月3,000〜5,000円/家賃アップ+3,000〜8,000円

特にリモートワーク世代には、無料Wi-Fiは非常に喜ばれます。オーナー名義でインターネット契約をして、家賃に含めてしまう方法です。入居者は契約の手間がなく、オーナーは通信費を経費計上できます。

その他、差別化になる設備

  • 防犯カメラ・センサーライト(特にファミリー層に人気)
  • 独立洗面台(ファミリー・女性に人気)
  • 浴室乾燥機(梅雨時期の洗濯問題を解決)
  • 食洗機(子育て世帯に人気)
  • 床暖房(高齢者・小さい子供がいる世帯に人気)

3-6. 契約形態の選び方(普通借家vs定期借家)

賃貸契約には主に2種類あります。それぞれの特徴を理解して、あなたの状況に合った契約を選びましょう。


普通借家契約

一般的な賃貸契約です。契約期間は通常2年で、入居者が希望すれば更新が可能です。オーナー側から契約解除するには「正当な理由」が必要で、実質的に解除は困難です。

メリット:入居者が安心して住めるため、募集がしやすい、長期入居が期待できる
デメリット:将来、自分が住みたくなったり売却したくなっても、すぐには対応できない


定期借家契約

契約期間を明確に定め、期間満了で契約が終了する契約です(再契約は可能)。「3年後に子供が戻ってくる予定」など、将来の予定が決まっている場合に便利です。

メリット:期間満了で確実に明け渡してもらえる、問題のある入居者を更新拒否できる
デメリット:家賃を相場より5〜10%下げないと借り手がつきにくい、契約書作成が厳格


どちらを選ぶべき?

  • 普通借家契約を選ぶべき人:長期的に賃貸経営をする予定、高い家賃で安定収入を得たい
  • 定期借家契約を選ぶべき人:数年後に自分が住む予定、売却の可能性がある、お試しで貸してみたい


3-7. 管理会社選びで収益が変わる

「どの管理会社に任せるか」で、家賃収入や管理の手間が大きく変わります。管理会社選びは本当に重要なんです。


管理会社の主な業務

  • 入居者募集・広告掲載
  • 内見対応・契約手続き
  • 家賃の集金・督促
  • 入居者からのクレーム・トラブル対応
  • 定期清掃・修繕手配
  • 退去時の立会い・原状回復


良い管理会社の見分け方

  1. 入居率・稼働率が高い:空室期間が短く、常に入居者を確保できている会社は営業力があります。稼働率95%以上が目安です
  2. 地域に強い:その地域で長年営業している会社は、地域の相場感やニーズを熟知しています
  3. 管理物件数が適切:少なすぎると経営が不安定、多すぎると対応が雑になります。担当者1人あたり50〜100物件程度が理想
  4. レスポンスが早い:問い合わせへの返信が24時間以内、トラブル対応が迅速な会社を選びましょう
  5. 報告が丁寧:月次報告書をしっかり出してくれる、写真付きで物件の状況を報告してくれる
  6. 契約内容が明確:管理委託料、修繕時の対応、契約解除の条件などが明確に記載されている


管理委託料の相場

一般的に家賃の5〜10%が相場です。例えば、家賃8万円なら月4,000〜8,000円です。安ければいいというものではなく、サービス内容とのバランスで判断しましょう。

管理委託料率 サービス内容の目安
3〜5% 集金代行のみ。トラブル対応は基本的にオーナー対応
5〜7% 標準的なサービス。募集・集金・簡単なトラブル対応
8〜10% 手厚いサービス。24時間対応、定期巡回、詳細な報告書
10%以上 サブリース(家賃保証)含む、または特殊物件の管理


サブリース(家賃保証)は必要?

サブリースは、管理会社が物件を一括で借り上げ、空室でもオーナーに一定の家賃を保証する仕組みです。一見安心ですが、以下の注意点があります。

  • 保証家賃は相場の80〜90%程度に設定される
  • 2年ごとに保証家賃の見直し(減額)がある
  • 修繕費用はオーナー負担のまま
  • 契約解除が難しい場合がある

サブリースは「絶対に空室を作りたくない」「遠方にいて管理が難しい」という場合以外は、通常の管理委託の方が収益は高くなります。


4. リフォーム費用と投資回収の計算方法

リフォームにお金をかける前に、必ず「投資回収計算」をしましょう。これをやらないと、いくらかけても元が取れない…なんてことになりかねません。


4-1. リフォーム費用の相場(箇所別)

まず、各箇所のリフォーム費用相場を把握しておきましょう。

リフォーム箇所 工事内容 費用相場 期待される家賃アップ
キッチン システムキッチン交換(標準グレード) 50〜100万円 +5,000〜10,000円/月
浴室 ユニットバス交換 80〜120万円 +5,000〜10,000円/月
トイレ 温水洗浄便座付きに交換 10〜20万円 +3,000〜5,000円/月
洗面所 独立洗面台設置 15〜30万円 +3,000〜5,000円/月
壁紙 全室クロス張替え(70㎡) 30〜50万円 +3,000〜8,000円/月
フローリング 全室張替え(70㎡) 50〜100万円 +5,000〜10,000円/月
外壁塗装 戸建て(延床120㎡) 80〜150万円 +10,000〜20,000円/月
エアコン 6畳用×3台設置 25〜40万円 +5,000〜10,000円/月

これはあくまで目安です。実際の費用は物件の状態や業者によって大きく異なるので、必ず複数社から見積もりを取ってください。


4-2. 投資回収期間の計算式と判断基準

リフォーム投資が成功かどうかは、「何年で元が取れるか」で判断します。


投資回収期間の計算式

投資回収期間(年)= リフォーム費用 ÷(家賃アップ額 × 12ヶ月)


計算例

【ケース1】水回りリフォーム(150万円)で家賃が月8,000円アップした場合
投資回収期間 = 150万円 ÷(8,000円 × 12ヶ月)= 150万円 ÷ 9.6万円 = 約15.6年

【ケース2】壁紙・床張替え(80万円)で家賃が月5,000円アップした場合
投資回収期間 = 80万円 ÷(5,000円 × 12ヶ月)= 80万円 ÷ 6万円 = 約13.3年


判断基準

  • 5年以内:非常に良い投資。積極的に実施すべき
  • 5〜10年:良い投資。長期的に賃貸経営するなら実施を推奨
  • 10〜15年:ギリギリ許容範囲。物件の状態や空室状況で判断
  • 15年以上:投資効率が悪い。別の方法を検討すべき

ただし、これは家賃アップだけを考えた場合です。実際には「空室期間が短くなる」「入居者の質が上がる」「物件の資産価値が上がる」などの副次的効果もあるので、総合的に判断しましょう。


4-3. 借入返済比率の考え方

リフォームローンを組む場合、重要な指標が「返済比率」です。


返済比率とは

返済比率(%)= 年間ローン返済額 ÷ 年間家賃収入 × 100

賃貸経営では、返済比率が50%以下が理想です。60%を超えると、突発的な修繕費用や空室期間が発生したときに収支が厳しくなります。


計算例

年間家賃収入:100万円(月8.3万円)
リフォームローン:300万円を金利2%、10年返済
年間返済額:約33万円
返済比率:33万円 ÷ 100万円 × 100 = 33% → 安全圏内

リフォームローンは金利が2〜4%程度、返済期間は5〜10年が一般的です。自己資金がある場合は、できるだけ頭金を入れて返済比率を下げましょう。


5. 【実例紹介】空き家を高く貸すことに成功したケーススタディ

実際に空き家を高く貸すことに成功した事例を3つ紹介します。あなたの物件にも応用できるヒントがあるはずです。


5-1. 築50年の古民家を月3万→7万円にアップした事例

物件概要:地方都市郊外の木造平屋、延床80㎡、4DK、築50年
リフォーム前の状態:雨漏りあり、畳が腐っている、水回りが古い
当初の査定額:月3万円(そのままでは借り手がつかない状態)


実施したリフォーム

  • 雨漏り修繕・屋根塗装:50万円
  • 水回り全面改修(キッチン・浴室・トイレ):180万円
  • 畳→フローリング化(2部屋):40万円
  • 壁紙張替え(一部):30万円
  • 庭の整備・外構:20万円
  • 総費用:320万円


戦略のポイント

この物件のオーナーさんは、最初「どうせ古いから」と諦めていました。でも、近くに移住者向けの支援施設ができることを知り、「田舎暮らしを求める若い世代」をターゲットに設定したんです。

古民家の梁や柱の味わいを残しつつ、水回りだけは現代的に。DIY可能なスペースも設けて、「自分好みにカスタマイズできる古民家」として募集しました。

結果

  • 家賃:月7万円で契約成立(相場より+2万円)
  • 入居者:リモートワーク中心の30代夫婦
  • 投資回収期間:約6.7年

さらに、入居者は庭で家庭菜園を始めるなど、物件を大切に使ってくれています。「ターゲット設定」と「物件の個性を活かす」ことの重要性を示す好例ですね。


5-2. 最低限のリフォームで即入居を決めた事例

物件概要:駅徒歩15分、木造2階建て、延床100㎡、3LDK、築25年
リフォーム前の状態:比較的きれいだが、設備が古い
当初の査定額:月6.5万円


実施したリフォーム

  • ハウスクリーニング(プロ業者):5万円
  • 温水洗浄便座設置:12万円
  • エアコン1台追加:10万円
  • 壁の一部補修・塗装:8万円
  • 宅配ボックス設置:5万円
  • 総費用:40万円


戦略のポイント

この物件は、築年数が古くても清潔感があり、間取りも良かったので、大規模リフォームは不要と判断。代わりに「あったら嬉しい設備」を追加することで差別化しました。

特に宅配ボックスは、ネット通販をよく利用する単身者やDINKS(共働き夫婦)に好評です。

結果

  • 家賃:月7.5万円で契約成立(+1万円)
  • 入居者:共働きの30代夫婦
  • 募集開始から2週間で入居決定
  • 投資回収期間:約3.3年

必ずしも大規模リフォームが必要なわけではない、という良い例ですね。物件の状態をしっかり見極めることが大切です。


5-3. シェアハウス化で安定収入を実現した事例

物件概要:大学近く、木造2階建て、延床120㎡、5LDK、築30年
リフォーム前の状態:空き家期間2年、やや傷みあり
当初の査定額:月7万円(1世帯として)


実施したリフォーム

  • 各部屋に鍵付きドア設置:30万円
  • 水回り改修(共同使用を前提):100万円
  • 各部屋にエアコン設置(5台):50万円
  • 共用スペース(リビング)の整備:40万円
  • インターネット回線工事:10万円
  • 総費用:230万円


戦略のポイント

近くに大学があり、学生の需要が見込めたため、シェアハウス化を決断。ただし、単なる「安い下宿」ではなく、「快適に暮らせるシェアハウス」を目指しました。

各部屋は完全個室化し、プライバシーを確保。共用スペースは広々と使えるようにして、入居者同士のコミュニケーションも取りやすい設計にしました。


結果

  • 家賃設定:1部屋あたり月3.5万円(光熱費込み)× 5部屋
  • 総収入:月17.5万円(満室時)
  • 平均稼働率:90%(常時4〜5部屋埋まっている)
  • 実質収入:月15.8万円程度
  • 管理委託料:月1.8万円(収入の10%)
  • 手取り収入:月14万円程度
  • 投資回収期間:約1.6年

1世帯に貸すより、収入が2倍以上になりました。ただし、入居者の入れ替わりは頻繁なので、管理会社のサポートは必須です。このオーナーさんは、地元の学生専門の不動産会社に管理を任せています。


6. 空き家を高く貸すための具体的手順【7ステップ】

では、実際に空き家を高く貸すための手順を、ステップバイステップで説明します。初めての方でも、この順番で進めれば大丈夫です。

ステップ1:室内の片付けと現状確認

まずは物件の現状を正確に把握しましょう。


やるべきこと

  • 室内の荷物整理:不要な家具・家電は処分または保管。空室の状態にする
  • 清掃:簡単な掃除でOK(本格的なクリーニングは後で)
  • 写真撮影:各部屋・水回り・外観を撮影(ビフォーアフターの記録)
  • 不具合のチェック:雨漏り、水漏れ、設備の故障、シロアリなど


チェックリスト

  • □ 屋根・外壁に破損や劣化はないか
  • □ 雨漏りの跡はないか
  • □ 水回り(キッチン・浴室・トイレ)は使用できるか
  • □ 給湯器は正常に動作するか
  • □ 電気・ガス・水道は問題ないか
  • □ 窓・ドアの開閉はスムーズか
  • □ 床のきしみ、壁のひび割れはないか
  • □ カビ・シロアリ・害虫の被害はないか

重大な欠陥(雨漏り、シロアリ被害など)がある場合は、必ず修繕が必要です。これらは入居後にトラブルになりますし、場合によってはオーナーの責任問題になります。

ステップ2:複数の管理会社に査定依頼

物件の現状が把握できたら、複数の不動産管理会社に査定を依頼します。最低でも3社、できれば5社に依頼しましょう。


査定時に聞くべきこと

  • 現状のままで貸す場合の想定家賃
  • リフォームする場合の想定家賃
  • おすすめのリフォーム箇所と予算
  • 空室期間の見込み
  • 管理委託料とサービス内容
  • 入居者のターゲット層

このとき、各社の対応や提案内容をメモしておきましょう。単に査定額が高いだけでなく、「なぜその金額なのか」を論理的に説明してくれる会社が信頼できます。


よくある査定のパターン

  • A社:「現状で月5万円。水回りリフォームすれば6.5万円」
  • B社:「現状で月4.5万円。フルリフォームすれば7.5万円」
  • C社:「現状で月5.5万円。簡単な清掃だけで十分」

このように会社によって意見が分かれることがあります。これは、各社の得意分野やネットワークが違うからです。複数の意見を聞いて、総合的に判断しましょう。

ステップ3:リフォーム計画の策定

査定結果を踏まえて、リフォームするかどうか、するならどこをリフォームするかを決めます。


判断のポイント

  1. 投資回収期間を計算:リフォーム費用÷(家賃アップ額×12)が10年以内か
  2. 空室リスクを考慮:リフォームしないと入居者が見つからない場合は必須
  3. 優先順位をつける:水回り→内装→外観の順に検討
  4. 予算の上限を決める:自己資金の範囲内、またはローンの返済比率50%以内


リフォーム会社の選び方

リフォーム会社も最低3社から見積もりを取りましょう。同じ工事内容でも、会社によって50万円以上差が出ることもあります。

  • 見積もりの詳細度:「一式○○万円」ではなく、材料費・工賃が明確に記載されているか
  • 実績:賃貸物件のリフォーム実績が豊富か
  • 保証:工事後の保証期間はあるか(最低1年)
  • コミュニケーション:質問にきちんと答えてくれるか、提案力はあるか

ステップ4:投資回収シミュレーション

リフォーム計画が固まったら、必ず投資回収のシミュレーションをしましょう。


シミュレーション例

【前提条件】

  • リフォーム費用:200万円(水回り中心)
  • リフォーム前の想定家賃:月5万円
  • リフォーム後の想定家賃:月7.5万円
  • 管理委託料:家賃の5%
  • 固定資産税:年12万円
  • 修繕積立:月5,000円

【年間収支計算】

  • 家賃収入:7.5万円 × 12ヶ月 = 90万円
  • 管理委託料:90万円 × 5% = 4.5万円
  • 固定資産税:12万円
  • 修繕積立:5,000円 × 12 = 6万円
  • 手取り収入:90万円 - 4.5万円 - 12万円 - 6万円 = 67.5万円

【投資回収期間】
200万円 ÷ 67.5万円 = 約3年

もしリフォームしなかった場合(家賃5万円)の年間手取り収入は約33.5万円なので、リフォームすることで年間34万円の収入増になります。3年で元が取れる計算なので、これは良い投資と言えますね。

ステップ5:管理会社との契約

リフォームが完了したら(またはリフォームせずに進める場合は)、管理会社と正式に契約します。


契約時のチェックポイント

  • 管理委託契約書の内容確認:管理業務の範囲、委託料率、契約期間、解約条件
  • 広告方法の確認:どの媒体に掲載するか(SUUMO、HOME'S、自社サイトなど)
  • 入居者審査基準:どのような基準で入居者を選定するか
  • 修繕の取り決め:いくら以上の修繕はオーナーの承認が必要か
  • 報告頻度:月次報告の有無、内容

契約書は隅々まで読んで、不明点は必ず質問しましょう。「あとで困った」とならないように、この段階でしっかり確認することが大切です。

ステップ6:入居者募集と審査

管理会社が入居者を募集してくれます。通常、問い合わせがあってから内見、審査、契約まで2週間〜1ヶ月程度かかります。


募集時のポイント

  • 魅力的な物件写真:プロのカメラマンに撮影を依頼すると反響が大きく変わります(費用2〜3万円)
  • 物件の強みを明確に:「駅近」「リフォーム済み」「ペット可」など、アピールポイントを前面に
  • 内見時の準備:室内を清潔に保つ、カーテンを開けて明るく、消臭・換気を徹底
  • 柔軟な条件設定:初期費用の分割払い対応、フリーレント(1ヶ月無料)など、時には柔軟な対応も必要


入居者審査のチェック項目

管理会社が審査してくれますが、オーナーとしても以下の点を確認しましょう。

  • 収入の安定性:家賃の3倍以上の月収があるか(例:家賃7万円なら月収21万円以上)
  • 勤務先:正社員、契約社員、自営業など。勤続年数も重要
  • 連帯保証人または保証会社:万が一の滞納に備える
  • 過去のトラブル歴:家賃滞納、近隣トラブルの有無
  • 入居理由:転勤、結婚、進学など、理由が明確か

「早く入居者を決めたい」という気持ちはわかりますが、審査を甘くするとトラブルの元です。特に家賃滞納は回収が非常に困難なので、慎重に判断しましょう。

ステップ7:賃貸借契約の締結

入居審査が通ったら、いよいよ契約です。契約は管理会社が代行してくれることが多いですが、重要な書類なので内容は必ず確認しましょう。


契約書に記載される主な内容

  • 契約期間:普通借家契約なら2年、定期借家契約なら任意の期間
  • 家賃・共益費:金額と支払日、振込先
  • 敷金・礼金:金額と返還条件
  • 原状回復の範囲:入居者負担と貸主負担の区分
  • 禁止事項:ペット飼育、楽器演奏、改造など
  • 更新料:2年ごとの更新時に発生する費用(地域により慣習が異なる)
  • 解約予告期間:通常は1〜2ヶ月前


契約時にもらう書類

  • 賃貸借契約書(原本)
  • 重要事項説明書
  • 入居者の身分証明書コピー
  • 連帯保証人の印鑑証明書(保証人を立てる場合)
  • 保証会社の契約書(保証会社を利用する場合)

これらの書類は大切に保管しましょう。トラブル時に必要になります。


引き渡し時の注意点

入居前に必ず「入居時チェックリスト」を作成し、室内の傷や汚れを写真付きで記録しておきましょう。退去時の原状回復トラブルを防ぐために非常に重要です。管理会社と入居者、三者で確認するのが理想的ですね。


7. 知らないと損する!補助金・税制優遇の活用法

空き家のリフォームや賃貸には、国や自治体からさまざまな補助金が用意されています。知っているだけで数十万〜数百万円もお得になることも。ぜひ活用しましょう!


7-1. 空き家リフォームに使える補助金一覧


①住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業

対象:高齢者、障害者、子育て世帯などに貸し出す賃貸住宅のリフォーム
補助額:改修費用の最大2/3(上限200万円/戸)
条件:10年間、住宅確保要配慮者向けに賃貸すること
問い合わせ先:各都道府県の住宅課、またはセーフティネット住宅情報提供システム


②長期優良住宅化リフォーム推進事業

対象:耐震性、省エネ性能を高めるリフォーム
補助額:工事費用の1/3(上限100〜250万円/戸)
条件:インスペクション(建物診断)の実施、一定の性能基準を満たす
問い合わせ先:国土交通省、または登録された事業者


③自治体独自の空き家活用補助金

多くの自治体が独自の補助制度を設けています。例えば:

  • 東京都世田谷区:空き家改修費用の最大50%(上限150万円)
  • 京都府京都市:空き家リノベーション補助(上限100万円)
  • 長野県飯田市:移住者向け空き家改修補助(上限200万円)

自治体の補助金は予算が限られているため、早い者勝ちです。年度初めに募集が始まることが多いので、事前に自治体の住宅課や空き家対策課に問い合わせておきましょう。


④省エネリフォーム補助金

対象:断熱改修、高効率給湯器、太陽光発電などの導入
補助額:設備により異なる(数万〜100万円程度)
条件:指定された省エネ基準を満たす機器の設置
問い合わせ先:環境省、経済産業省、または施工業者


7-2. 確定申告で経費計上できる項目

賃貸収入は「不動産所得」として確定申告が必要です。でも、経費をしっかり計上すれば税金を大幅に減らせます。

経費として認められる主な項目

経費項目 内容 注意点
減価償却費 建物・設備の取得費を耐用年数で按分 木造住宅は22年、設備は15年など
修繕費 壁紙張替え、設備修理など 資産価値を高める工事は減価償却対象
管理委託料 管理会社への支払い 全額経費OK
固定資産税・都市計画税 物件にかかる税金 全額経費OK
損害保険料 火災保険、地震保険 全額経費OK
借入金利子 ローンの利息部分(元本は不可) 利息のみ経費計上可能
広告宣伝費 入居者募集の広告費用 全額経費OK
交通費 物件確認や管理のための交通費 業務目的に限る
通信費 物件管理に使う電話代、ネット代 按分計算が必要な場合も
税理士報酬 確定申告代行費用 全額経費OK


青色申告のススメ

不動産所得が発生する場合、青色申告にすることで最大65万円の特別控除が受けられます。青色申告の条件は:

  • 複式簿記での記帳
  • 貸借対照表・損益計算書の作成
  • e-Taxでの申告

難しそうに聞こえますが、会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使えば、簿記の知識がなくても大丈夫。月額1,000〜2,000円程度で利用できます。


赤字の場合はどうなる?

賃貸経営が赤字になった場合、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できます。例えば、給与所得500万円、不動産所得マイナス100万円なら、課税所得は400万円になり、税金が還付されます。


7-3. 各自治体の独自支援制度

国の補助金以外にも、自治体が独自に行っている支援制度があります。代表的なものを紹介します。


①空き家バンク制度

自治体が運営する空き家情報サイトに登録すると、移住希望者とマッチングしてくれる制度です。登録は無料で、自治体によっては以下の特典も:

  • リフォーム補助金の優先適用
  • 移住者への家賃補助(オーナーの収入は減らない)
  • 空き家の片付け・清掃サービス

②固定資産税の減免措置

一部の自治体では、空き家を賃貸に出すことで固定資産税が減免されることがあります。例えば:

  • 賃貸開始後3年間、固定資産税を50%減免
  • 耐震改修を行った場合、固定資産税を1/2に減額

③移住者向け家賃補助

移住促進に力を入れている自治体では、移住者に対して家賃補助を行っています。オーナーは通常の家賃を受け取り、入居者の負担は自治体が補助する仕組みです。

例:長野県のある自治体では、移住者に対して月3万円×最大3年間の家賃補助

調べ方のコツ:「○○市 空き家 補助金」「○○県 移住 支援」などで検索すると、自治体の公式情報が出てきます。また、自治体の住宅課や移住定住課に直接問い合わせるのが確実です。


8. 空き家を高く貸す際の注意点とリスク管理

ここまで「高く貸す方法」を説明してきましたが、リスクもしっかり理解しておくことが大切です。事前に対策を立てておけば、トラブルを最小限に抑えられます。


8-1. 住宅ローン返済中の物件は貸せない?

これ、意外と知らない方が多いんですが、住宅ローン返済中の物件を無断で賃貸に出すのは契約違反になる可能性が高いです。


なぜダメなのか

住宅ローンは「本人が居住すること」を前提に、低金利(0.5〜1.5%程度)で貸し出されています。これを賃貸に出すと「投資目的」とみなされ、契約違反になります。


どうすればいい?

  1. 金融機関に相談する:転勤など正当な理由があれば、一時的に賃貸を認めてもらえることがあります
  2. 投資用ローンに借り換える:金利は高くなりますが(2〜4%程度)、正式に賃貸可能になります
  3. 完済してから貸す:確実な方法です

無断で貸して発覚すると、ローンの一括返済を求められることもあるので、必ず事前に相談しましょう。


8-2. 入居者トラブルを防ぐ契約書のポイント

入居後のトラブルの多くは、契約書の内容が曖昧だったことが原因です。以下の項目は必ず明記しましょう。


①原状回復の範囲

「原状回復」とは、退去時に入居者が部屋を元の状態に戻すことですが、何をどこまで戻すかでトラブルになりやすいです。

  • 入居者負担:故意・過失による破損、清掃不足による汚れ、タバコのヤニ・臭い
  • 貸主負担:経年劣化、通常の使用による損耗(壁紙の日焼け、畳の変色など)

国土交通省の「原状回復ガイドライン」を参照し、契約書に具体的に記載しておきましょう。


②禁止事項の明確化

  • ペット飼育の可否(可の場合、種類・頭数の制限)
  • 楽器演奏の可否(可の場合、時間帯の制限)
  • 民泊や又貸しの禁止
  • 喫煙の可否
  • 改造・DIYの可否


③家賃滞納時の対応

「○日以上の滞納があった場合、催告なしに契約を解除できる」など、具体的な日数と対応を記載しておきます。ただし、実際には法的な手続きが必要なので、管理会社や弁護士と相談しながら進めることになります。


8-3. 空室リスクへの備え方

どんなに良い物件でも、空室期間はゼロにはできません。空室リスクへの備えが必要です。


①適正な家賃設定

欲張って相場より高すぎる家賃を設定すると、空室期間が長くなります。例えば:

  • 相場7万円の物件を8万円で貸す → 3ヶ月空室
  • 相場7万円の物件を7万円で貸す → 1ヶ月で入居決定

年間収入を計算すると:

  • 8万円×9ヶ月 = 72万円
  • 7万円×11ヶ月 = 77万円

高く設定したはずが、結果的に収入が減ってしまうこともあるんです。


②フリーレント(家賃無料期間)の活用

入居促進策として、「最初の1ヶ月家賃無料」などのフリーレントを設定する方法があります。家賃を下げるのではなく、初期費用を抑えることで入居率を上げる戦略です。


③複数の募集ルート

管理会社任せだけでなく、自分でも以下のような募集をしてみましょう:

  • ジモティーなどの地域掲示板に掲載
  • SNS(Twitter、Instagramなど)で情報発信
  • 知人・友人への口コミ
  • 大学や企業の掲示板(許可が必要)


8-4. 修繕費用の積立計画

賃貸経営では、定期的に修繕費用が発生します。「今月、給湯器が壊れて30万円の出費…」なんてことにならないよう、計画的に積み立てておきましょう。

修繕費用の目安

設備・箇所 耐用年数 交換費用 月々の積立目安
給湯器 10〜15年 20〜30万円 2,000円
エアコン 10〜15年 10万円×台数 1,500円
外壁塗装 10〜15年 80〜150万円 8,000円
屋根修繕 15〜20年 50〜100万円 4,000円
水回り設備 15〜20年 100〜200万円 8,000円

これらを合計すると、月々2〜3万円程度の積立が理想です。家賃収入の中から、必ず積み立て用の口座に移しておくことをおすすめします。

火災保険・地震保険の加入は必須

火災や自然災害による損害は、オーナーの負担になります。必ず保険に加入しましょう。賃貸用の火災保険は年間1〜3万円程度です。地震保険もセットで加入することをおすすめします。


9. よくある質問(FAQ)

空き家を高く貸すことを検討している方から、よく寄せられる質問をまとめました。あなたの疑問もここで解決できるかもしれません。


Q1. リフォームせずに高く貸すことは可能ですか?

A. 可能ですが、物件の状態と立地次第です。以下の条件を満たしている場合は、リフォームなしでも相場並み、または相場より高く貸せる可能性があります。

リフォームなしで高く貸せる条件

  • 築年数が比較的新しい:築10年以内で、設備が現代的で清潔な状態
  • 立地が抜群に良い:駅徒歩5分以内、人気エリア、周辺環境が充実している
  • 間取りや設備に強みがある:広い庭、駐車場複数台、収納豊富など
  • 清潔感がある:目立つ汚れや破損がなく、そのまま住める状態

ただし、最低限のメンテナンスは必要です。プロのハウスクリーニング(3〜5万円)、壁の小さな穴の補修、蛍光灯の交換、庭の草刈りなど、「すぐに住める状態」にすることは必須ですね。

また、リフォームしない代わりに「初期費用を抑える」「家具家電付きにする」などの工夫で差別化することも有効です。初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)の負担が少ないと、入居希望者は増えます。


Q2. 家賃を途中で値上げすることはできますか?

A. 契約期間中の一方的な値上げは原則としてできませんが、更新時であれば交渉可能です。

値上げが認められる主なケース

  • 周辺相場が上昇している:同じエリアの類似物件の家賃が上がっている場合
  • 固定資産税や都市計画税が上がった:税金の増額分を家賃に反映させる
  • 大規模なリフォームを実施した:設備を新しくした、機能を追加したなど
  • 物価上昇による経費増:管理費、修繕費、光熱費(共用部分)の上昇


値上げ交渉のポイント

値上げを申し出る際は、以下のような工夫をすると入居者の理解を得やすくなります。

  • 根拠を明確に示す:周辺相場のデータや税金の通知書を見せる
  • 値上げ幅は現実的に:月3,000〜5,000円程度が一般的。1万円以上は退去のリスク大
  • 段階的に値上げ:いきなり大幅に上げるより、数年かけて少しずつ上げる
  • 交渉の余地を残す:「月5,000円を希望していますが、ご相談させてください」など柔軟な姿勢を見せる
  • 更新の3〜6ヶ月前に通知:急な通知は反発を招きます

ただし、入居者が値上げに同意しない場合、無理に押し通すと退去されてしまい、結果的に空室期間が発生して損をすることもあります。長く住んでくれている良い入居者なら、多少の妥協も必要かもしれませんね。


Q3. 短期間だけ貸したい場合はどうすればいいですか?

A. 定期借家契約または、マンスリー契約、民泊の活用をおすすめします。


①定期借家契約を活用する

定期借家契約なら、契約期間を1年、2年など自由に設定でき、期間満了で確実に明け渡してもらえます。「3年後に子供が戻ってくる」「将来売却を考えている」といった場合に便利です。

注意点:定期借家契約は入居者にとって不利な条件のため、家賃を相場より5〜10%下げないと借り手がつきにくい傾向があります。また、契約時に「期間満了で更新がないこと」を書面で説明する義務があります。


②マンスリー契約・ウィークリー契約

家具家電付きで、1ヶ月〜6ヶ月程度の短期契約です。出張者や一時的な住まいを探している人がターゲットです。

  • メリット:家賃を高めに設定できる(通常の1.5〜2倍)、短期でも収益化できる
  • デメリット:家具家電の購入が必要、入れ替わりが激しく管理の手間がかかる


③民泊として貸し出す

Airbnbなどの民泊プラットフォームを使って、1泊〜数週間単位で貸し出す方法です。観光地や都市部なら高収益が期待できます。

  • メリット:柔軟に運用できる、稼働率次第で高収益
  • デメリット:住宅宿泊事業法の届出が必要、年間180日の営業日数制限、清掃やゲスト対応の手間


Q4. 知人に貸す場合の注意点を教えてください

A. 知人だからこそ、契約書はしっかり作成し、ビジネスライクな関係を保つことが大切です。

「友達だから口約束で大丈夫」と思って貸すと、後々トラブルになることが非常に多いんです。家賃の支払いが遅れる、退去時期が曖昧になる、修繕費用でもめる…こうなると、せっかくの関係が壊れてしまいます。


知人に貸す際に必ずやるべきこと

  1. 正式な賃貸借契約書を作成する:家賃、敷金、契約期間、禁止事項などを明記
  2. 家賃の支払いは銀行振込にする:現金の手渡しだと記録が残らず、トラブルの元に
  3. 家賃は相場の70%以上に設定:極端に安くすると「みなし贈与」として贈与税がかかる可能性があります
  4. 退去時の原状回復ルールを明確に:「友達だから多少の汚れは大丈夫」という曖昧な約束は避ける
  5. 修繕費用の負担を事前に決めておく:「エアコンが壊れたら誰が払うのか」など具体的に


みなし贈与に注意

例えば、相場が月10万円の物件を知人に月3万円で貸した場合、差額の7万円が「贈与」とみなされ、年間110万円(贈与税の基礎控除額)を超える部分に贈与税がかかる可能性があります。

知人に貸す場合でも、相場の70〜80%程度の家賃は設定しましょう。「友情価格」として多少安くするのは問題ありませんが、極端に安くするのは避けた方が無難です。


Q5. 民泊と長期賃貸、どちらが儲かりますか?

A. 一概には言えませんが、立地と管理体制によって向き不向きがあります。

比較項目 長期賃貸 民泊
収益性 安定しているが上限あり
月5〜10万円程度
高収益の可能性あり
月10〜30万円(稼働率次第)
安定性 非常に高い
2年契約で収入が予測できる
低い
季節変動、イベント、経済状況に左右される
管理の手間 少ない
管理会社に任せればほぼ手間なし
非常に多い
清掃、ゲスト対応、レビュー管理など
初期費用 リフォーム費用のみ
50〜300万円程度
家具家電も必要
100〜500万円程度
法規制 比較的緩い 厳しい
届出必要、年間180日制限
向いている立地 住宅地、郊外、ファミリー向けエリア 観光地、都市部、駅近、繁華街
リスク 空室リスク、家賃滞納 低稼働率、近隣トラブル、設備破損


判断の目安

長期賃貸がおすすめのケース:

  • 安定収入を重視したい
  • 管理の手間をかけたくない
  • 住宅地や郊外の物件
  • 遠方に住んでいて頻繁に物件を訪れられない

民泊がおすすめのケース:

  • 観光地や都市部の駅近物件
  • 年間稼働率70%以上が見込める
  • こまめな管理ができる、または民泊代行業者に依頼できる
  • 短期的に高収益を狙いたい


実際の収益例を見てみましょう。

【ケース比較:東京都内、2LDK、駅徒歩10分の物件】

長期賃貸の場合:
家賃:月12万円
管理費:月6,000円(家賃の5%)
年間収入:12万円×12ヶ月−6,000円×12ヶ月=136.8万円

民泊の場合(稼働率70%):
1泊料金:8,000円
稼働日数:365日×70%=255日
粗収入:8,000円×255日=204万円
清掃費・代行手数料(30%):61.2万円
年間収入:204万円−61.2万円=142.8万円

この例では、民泊の方がわずかに上回りますが、管理の手間や稼働率の変動リスクを考えると、長期賃貸の方が安定しています。稼働率が60%を下回ると、長期賃貸の方が有利になります。


Q6. 空室期間が長引いてしまったらどうすればいいですか?

A. 空室が3ヶ月以上続く場合は、何らかの原因があります。以下の対策を試してみましょう。


空室が長引く主な原因と対策

  1. 家賃が高すぎる
    • 対策:周辺相場を再調査し、5,000〜10,000円下げてみる
    • または、フリーレント(1ヶ月家賃無料)を設定する
  2. 写真や物件情報が魅力的でない
    • 対策:プロのカメラマンに撮影依頼(2〜3万円)
    • 物件の強みを前面に出した紹介文に書き換える
  3. 内見時の印象が悪い
    • 対策:室内を徹底的に清掃、消臭、明るく見せる工夫
    • 小物(観葉植物、カーテンなど)でステージングする
  4. 条件が厳しすぎる
    • 対策:ペット可、楽器相談可など、条件を緩和する
    • 初期費用を下げる(敷金・礼金ゼロなど)
  5. 募集媒体が限られている
    • 対策:複数の不動産ポータルサイトに掲載
    • SNSやジモティーなど、無料媒体も活用する

それでも決まらない場合は、管理会社を変更することも検討しましょう。営業力のある会社に切り替えるだけで、すぐに入居が決まることもあります。


10. まとめ:空き家を高く貸して安定収入を実現しよう

長い記事をここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。空き家を高く貸すための方法、しっかり理解できましたでしょうか?

最後に、この記事の重要ポイントをもう一度まとめておきますね。


空き家を高く貸すための重要ポイント【10選】

  1. 水回りリフォームを最優先に:トイレ、浴室、キッチンの改修は家賃アップに直結します。投資回収期間10年以内を目安に判断しましょう
  2. ターゲット設定が成功の鍵:ファミリー、単身者、リモートワーカーなど、誰に貸すかを明確にすることで、適切なリフォームや設備投資が見えてきます
  3. 貸し方の選択肢を広げる:普通の賃貸だけでなく、シェアハウス、民泊、サテライトオフィスなど、物件に合った活用法を検討しましょう
  4. 管理会社選びに時間をかける:最低3社から査定を取り、入居率、対応力、管理体制を比較してください。収益の差は管理会社で大きく変わります
  5. 投資回収計算を必ず行う:リフォーム費用÷(家賃アップ額×12ヶ月)で投資回収期間を計算し、10年以内なら実施を検討しましょう
  6. 補助金・税制優遇を最大限活用:国や自治体の補助金で数十万〜数百万円節約できます。リフォーム前に必ず自治体に確認してください
  7. 適正な家賃設定が空室を防ぐ:欲張って高く設定しすぎると、空室期間が長引いて結果的に損をします。相場を踏まえた現実的な価格設定を
  8. 契約書は細部まで明確に:特に原状回復の範囲、禁止事項、家賃滞納時の対応は具体的に記載しましょう。トラブル予防の要です
  9. 修繕費の積立を忘れずに:給湯器やエアコンは10〜15年で交換時期が来ます。月2〜3万円を積み立てておくと安心です
  10. 火災保険・地震保険は必須:万が一の災害に備えて、必ず保険に加入しましょう。年間1〜3万円の出費で大きな安心が得られます

今日から始められる3つのアクション

空き家を高く貸すための知識は手に入れました。でも、知識だけでは何も変わりません。大切なのは「行動すること」です。

まずは、この3つから始めてみませんか?今日、今すぐできることばかりです。


アクション①:空き家の現状を把握する(所要時間:1時間)

  • 物件を訪問して、室内を隅々まで確認する
  • 各部屋、水回り、外観の写真を撮る(ビフォーアフターの記録にもなります)
  • 不具合箇所をメモする(雨漏り、設備故障、破損など)
  • 登記簿謄本や固定資産税の書類を準備する


アクション②:不動産会社3社に査定依頼する(所要時間:30分)

  • 地元の不動産会社をインターネットで検索する
  • 電話またはメールで「空き家の賃貸査定をお願いしたい」と連絡する
  • 物件の住所、間取り、築年数を伝える
  • 訪問査定の日程を調整する

査定は無料です。「まだ貸すか決めてないんですが…」という段階でも全く問題ありません。むしろ、早めに相談することで、適切なアドバイスがもらえます。


アクション③:自治体の補助金制度を確認する(所要時間:15分)

  • 「○○市(あなたの自治体名) 空き家 補助金」で検索する
  • または、市役所の住宅課・空き家対策課に電話する
  • 「空き家を賃貸に出したいが、リフォーム補助金はあるか」と質問する
  • 申請条件、金額、締切を確認する

補助金は予算が限られているため、早い者勝ちです。年度初めに募集が始まることが多いので、早めに確認しておきましょう。

空き家を「負債」から「資産」に変えるために

空き家を持っているだけでは、固定資産税や維持費がかかり続け、建物は劣化していくばかりです。でも、適切に活用すれば、毎月安定した収入を生み出す「資産」に生まれ変わります。

私がこれまでアドバイスしてきた空き家オーナーの中には、「最初は不安だったけど、やってみたら意外と簡単だった」「毎月の家賃収入で生活が楽になった」「地域の役に立てて嬉しい」という声をたくさんいただいています。

あなたの空き家も、誰かにとっての「理想の住まい」になる可能性を秘めています。リモートワークで静かな環境を求めている人、子育てのために広い家を探している家族、新しい土地で夢を追いかけている若者…。

その人たちと、あなたの空き家を結びつけることができれば、お互いにとって素晴らしい出会いになります。

最後に:あなたの一歩を応援しています

「でも、本当に自分にできるかな…」と不安に思う気持ち、よくわかります。初めてのことは誰でも不安ですよね。

でも大丈夫です。この記事で紹介した手順に沿って、一歩ずつ進めていけば、必ず道は開けます。そして、信頼できる管理会社という強力なパートナーがいれば、あなたは「オーナー」として、重要な決定をするだけで済みます。

空き家の活用は、あなた自身の収入アップだけでなく、住まいを求める人に快適な住居を提供し、地域の空き家問題解決にも貢献する、本当に意義のある取り組みです。

さあ、今日がスタートの日です。


あなたの空き家が、明日には誰かの「ただいま」と言える場所になるかもしれません。その第一歩を、今、踏み出してみませんか?

この記事が、あなたの空き家を「負債」から「資産」に変えるきっかけになれば、これ以上の喜びはありません。

応援しています。頑張ってください!

💡 ワンポイントアドバイス

空き家の活用で一番大切なのは「完璧を目指さないこと」です。

最初から完璧なリフォーム、完璧な条件、完璧な入居者を求めると、いつまでも前に進めません。まずは「住める状態」にして、最低限の条件で貸し出してみる。そこから改善していけばいいんです。

「まず始めること」が、成功への一番の近道です。

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本記事の情報は2026年1月時点のものです。法律や制度、補助金の内容は変更される可能性があります。

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