空き家問題は、近年ますます深刻化しています。特に都市部では空き家の数が増加し、その管理が行き届かない場合、地域の治安や景観に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

空き家対策に関する法律が整備され、全国的に進められている空き家対策の一環として、平成27年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく行政措置があります。これにより、空き家への対策が強化されることとなりました。

例えば、面積が160㎡で評価額が3,300万円の宅地の場合、住宅用地の減額特例が適用され、以下のように計算されます。
固定資産税：3,300万円×1/6×1.4％＝77,000円
都市計画税：3,300万円×1/3×0.3％＝33,000円
つまり固定資産税の計算上、「住宅」となっている場合には、空き家を解体することは解体工事費用がかかるだけでなく、宅地が“住宅用地”ではなくなってしまうことで固定資産税の負担増加に繋がります。このような課税体系が、空き家が長年取り壊されることなく放置されている要因と言われています。

さらに行政から「特定空き家」に指定されてしまうと固定資産税が数倍に高くなる可能性があるので、空き家の管理が重要であります。

上記の例ですとこのように大幅に高くなる可能性が高くなります。

固定資産税：3,300万×1.4％＝462,000円

都市計画税：3,300万円×0.3％＝99,000円
全国的に空き家が増えることによって、周囲の生活環境が悪化するだけでなく、老朽化した家屋の崩壊や火災などのリスクが高まります。

そこで令和5年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が改正され、空き家への対策がさらに強化されることとなりました。

具体的には、以下のように管理状態が不十分な空き家は「特定空き家」として指定されます。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家に指定された場合の流れ
特定空き家の指定に関しては、以下のように行われます。

空き家の調査→特定空き家に指定→助言・指導→勧告→命令→行政代執行

調査によって特定空き家に指定された場合、まず自治体からの「助言・指導」が行われ、それにより状況が改善すると指定は解除されます。改善が行われない場合には「勧告」がなされ、特定空き家の宅地は固定資産税や都市計画税の計算上、住宅用地特例の対象から除外されることとなり、その結果、翌年以降の固定資産税等は大幅に増加します。それでもなお放置すると「命令」に切り替わり、従わない場合には50万円以下の罰金が科されます。そして、最終的には「行政代執行」に移行し、自治体が空き家を取り壊し、その取壊費用を所有者に請求することになります。

空き家問題は一朝一夕に解決できるものではありません。所有者の理解や協力を得ることが不可欠であり、地域全体で空き家に対する意識を高める必要があります。適切な空き家対策がわからない場合には、弊社提携税理士や専門スタッフへの相談を検討してみてください。

空き家を遺産として受け継ぐ際には、いくつかの重要な要素について理解しておく必要があります。まず、相続税の問題です。空き家は財産の一部として評価されるため、その評価額に応じて相続税が発生します。特に、空き家が都心にある場合、その市場価値は高くなることが一般的です。これにより、予想以上の相続税が課せられることがあるため、事前に専門知識を持った弊社提携税理士や専門スタッフに相談することをお勧めします。管理の負担についても考慮が必要です。空き家は放置すると老朽化が進み、さらには地域の治安や景観に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、管理を放棄することはできません。所有者が適切に管理する義務が課せられる特定空き家に指定されると、固定資産税が高くなり、罰則が課せられる可能性があります。したがって、相続を受けた後は、空き家をどう扱うか早い段階で決断することが必要です。

生前贈与や売却手続きの流れも理解しておくと良いでしょう。空き家の生前贈与は、相続人が複数いる場合に意見の調整が必要になることがあります。また、空き家を売却する場合は市場での適正価格を把握し、いかにして早く売却できるかを考えるべきです。不動産市場に精通した私たちナナラに相談することで、効果的な売却戦略を立てることができます。加えて、売却する際には物件の状態が全体の売却価格に大きく影響するため、リフォームを経て物件価値を向上させることも選択肢の一つです。これにより、より多くの買い手にアピールできる可能性が高まり、販売がスムーズに進むことがあります。空き家をそのまま放置するのではなく、将来的な資産として生かす視点が求められます。相続後の空き家をどう活用するかを考える際は、専門スタッフのアドバイスを受けながら、最適な方法を見つけていきましょう。空き家の管理と活用は、適切な知識と決断によって、有意義な資産へと変化させることが可能になります。